私がこの本を手にとってみたのは、
言わずと知れたディストピア小説「1984」(ジョージ・オーウェル著)
を読んだことがきかっけだ。
これまで手にとってこなかったディストピア小説を読み関心をもったことでこの本も手にとってみたわけだ。
「すばらしい新世界」は「1984」とは別の意味で怖い。というのが率直な感想だ。
「すばらしい新世界」では人間が工場で生産されており条件付け教育というのを施されている。
条件付けというのはいわゆる洗脳だ。小さいころから何百回も信じ込ませたい言葉を繰り替えし聞かせるのだ。あるいは人間の行動原理を決定させる。
秀逸なのは「母親」という単語をとても卑猥な言葉だと教えさせることだ。
母親1人で(実際には父親もいるが…)子供を育てるのはとてもよくないことだと教えている。
つまり人間を工場で生産するのに疑問をもたせない。これがよくできていて面白いと思った。
工場では優秀な人間、優秀でない人間を意図的に作り出すことができる。しかしすべての人間を優秀にはしない。優秀な人間そうでない人間を”バランス良く”生み出している。それはなぜか、、、優秀な人間だけではすべての人間が能力にあった仕事に必ずしもつけないため暴動や反乱がおきやすいためだという。
本作のいわゆる支配層は”安定性”を求めている。みんなが幸福を感じられるために。
つまり普通の人間(洗脳された人間)であればこの世界はすばらしい世界なのだ。それをおかしいと思ってしまう人が不幸なのだ。
支配層・普通の人間・異端者
この三者の会話・議論が実に面白かった。
会話を通じて三者三様の価値感を楽しむことができるのがこの「すばらしい新世界」の醍醐味の一つだと私は思う。
今回私は「光文社古典新訳文庫 黒原敏行氏 訳」を読ませていただいた。
この作品ではシェイクスピアの作品の引用が多く見られる。”ハムレット”、”オセロー”、”リア王”など
シェイクスピアの作品で「ヴェニスの商人」しか私は読んだことがなかったので、もっと読んでいればより情景が浮かんで楽しめたかなとも思った。(”ヴェニスの商人”の引用は2つくらいしかなかった)
普段あまり本を読まない私ですが久々に一気見した作品でした。
よければ是非みなさんも読んでみてください。
(解釈が間違っている部分もあるかと思いますがご了承ください。)